忍者ブログ
雪花の日記です
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

見舞いの名目で妻に花を届けるため、
蔵馬は自慢の温室をほぼ丸裸と呼べる状態にまで導いてしまった。
騒動にもやっと片が付き、彼女自身も健康を取り戻して、
一応は夫婦であるというのに最初から恋をやり直すような
スローペースでお互いを知ることから始めている。
それでもやっと、挨拶にキスを交わすことができる程度の仲だ。
これでも進歩したほうだと言い訳し、
蔵馬は次第にはやる感情を抑えるのに必死になっていた。
彼自身にも制御が難しいその獣も、
可愛い妻のちょっとした表情や仕草、たった一言で
大人しく手懐けられてしまうこともしばしばだったが。

さてある日、目覚めて隣に眠る妻を見やると、
赤い顔をしてぜいぜいと息をしているのに気がついた。
はっとして額に手をあててみると、明らかに熱に喘いでいるとわかる。
なにがあったのかと唐突に慌て出す蔵馬の内心だが、
とりあえず医師に診てもらわなければとまた瞬時に冷静さを取り戻す。
そうして下された診断は、何のことはない、
季節柄風邪を引いたのだろうという単純なものだった。
ただ熱を出しているのがどうかすると国の未来をも担う王妃である
というだけで、事態は一変してしまう。
侍女たちは涙を浮かべて献身的に働き回り祈りを捧げる。
噂には尾ひれが付いて回り、
いつの間にか「はやり病に倒れた王妃の御容態は」と
恐ろしい問い合わせまで届く始末。
それと一緒に薬や滋養のある食物などが届けられ、
目覚めた王妃本人が面食らって言葉を失ってしまうほどだ。
しかし国にとっての何よりの打撃は、切れ者と名高い王が
腑抜けたように集中力を失って仕事がはかどらないということだろう。
夜を迎え、軽い熱もすっかり引いた妻の身体を心配そうに抱きしめる
蔵馬の様子に、彼女はおかしそうにくすくすと笑いをもらした。
これでも夫は真剣なのだとわかっているので、
笑うのも気の毒なような気もしたが。

翌朝、目覚めた王妃の隣に蔵馬の気配はなかった。
ベッドの中に彼の体温が残っていないところから、
かなり早くに部屋を出てしまったのだろうと思って
少々さびしい思いを抱く。
それが、朝食頃になって誤解とわかった。
ベッドで甘く味付けた薬湯を飲んでいた彼女のもとに
蔵馬が戻ってきた…その手には今度はどこから調達してきたのか、
花がさげられている。

「まだ温室にお花が残ってました?」
「…かろうじてね」

おかしそうに聞いてくる妻に、蔵馬はばつが悪そうな顔で答える。
からかうように、彼女はさらに問いかけた。

「またお見舞いですか? もう熱は下がりましたのに」

蔵馬はますます居心地が悪そうに、
照れが高じて怒ったような顔になりながらぶっきらぼうに呟いた。

「……贈り物だよ。それでいいだろ」

途端、おかしくてずっと笑いをこらえていた彼女は呆気にとられて
目を見張った。
蔵馬ももうどうしようもなくなって、開き直るとずんずんと勢いよく
ベッドまで歩み寄ってきて、その端に乱暴に腰掛けた。

「…幽助が言っていたんだよ。
 そろそろプレゼントだって言って贈ってもいいんじゃないかって」

花束はぽんと無造作に、彼女の膝あたりへ放られた。
妻の目が無感動にその花を見つめているのを見て、
蔵馬はやり方を間違えたらしいとちょっと困惑してため息をついた。

「…きっかけがないとプレゼントもできないらしい」

臆病ですみませんねと投げやりに言ってみるが、
また彼女が輝くような笑みを浮かべたのを見て言葉じりは抑揚なく
吐息に混じってしまった。
彼女は顔を上げ、感謝のこもった目で彼を見つめて微笑んだ。

「ありがとう。
 私、まともに御礼を申し上げたことがきっとなかったわ」
「…そうだった? いいよそんなこと…」

とりあえずこの場のいかにも恥ずかしい空気を何とかしたくて、
蔵馬は妻から顔を背けるとぱっぱと何か追い払うように手を振った。
その手が横から押さえつけられ動きを止められて、
何事かと妻を振り返る前に、蔵馬はその頬に優しいキスを受けていた。

「は……」
「ありがとう、蔵馬。大好き」

慌てて振り返ると、妻は何事もなかったかのように
羽根枕に寄りかかって薬湯のカップをからにしようと努力している。
しばらくしてふいに、カップを包む指先を見つめていた彼女の目が
悪戯っぽく蔵馬に向けられた。
視線が絡んだ途端頬にかぁっと熱がのぼってくるのを感じて、
蔵馬はがくんと俯き、力無く呟いた。

「…ちょっと、待って…」
「あら、意外と照れ屋さん」
「………」
「自分はいつももーっと私を照れさせるようなことをするくせに。
 温室を丸裸にするくらいお花を贈ってくれるくせに。
 耳を塞ぎたくなるくらい甘ぁいことを言ってキスをするくせに」
「…何の嫌がらせ?」
「嫌がらせなんて! ひどい言い方」

蔵馬が行き場を失ったらしいことを悟ると、
彼女は嬉しそうに声を立てて笑った。

「だって、私その分をあなたにお返しできていないんだもの。
 でもほっぺにキスと『大好き』って言うだけで
 埋め合わせできちゃうなんて思ってなかったわ」
「オレにも予想外だったよ…意外と意地が悪いな、君」
「いやだ、意地が悪いなんて。あなただって相当意地悪よ」
「覚えがないよ」

いいえ、と彼女は言うと、
なぜかそのまま赤くなって言葉を切ってしまった。

「…誰も何も言ってないよ。何考えてるの?」
「そういうところが意地悪よ」

しばらくお互い黙り込んでの睨み合いが続き、
先に口を開いたのは彼女のほうだった。

「だって。
 …だって、私もどうしたいのかよくわからないの、つまり…」
「つまり?」
「あの…おねだりしないと、何もしてくれないんだもの」
「……はい?」

彼女はますます赤い顔で、目をそらすとちいさく呟いた。
“あんまり優しすぎても、焦れちゃうわ”
蔵馬は目を丸くして、しばらく呆けたあとにやっとのことで口を開く。

「…あ、そう…」
「わからなくなっちゃった…忘れてくださってもいいの」
「いや、それはもったいない気が…
 …いいんだ? 遠慮してたよ」
「そ、そう? やっぱり」

あまりにあっけなく枷がひとつ外れたらしいことに蔵馬は
逆に落ち着きを取り戻してしまったのだが、
筋金入りの深窓の令嬢である妻が、
こんな知識を植え付けられているとは思えない。
見聞きして知ってしまったか、それともただ単に…

「…もっとそばに行ってもいいってこと?」

具体的な手段などわからずにただ単にそう思ったのだとしたら、
彼女らしくて頷ける。
そう思って聞いてみると、案の定彼女は控えめに頷いた。
そして自分の言動に改めて照れてしまったようで、
誤魔化すように早口でまくし立てる。

「あ、でも、まだ風邪が治りたてだからいけないわ、
 うつしてしまったら大変…お仕事もはかどらなくなるでしょうし、
 みんな困ってしまうし、たくさんの人が心配するし…」
「…オレにうつして治したら?
 寝込むほどヤワじゃないからオレは平気だよ」
「そんな」

彼女は困ったように口をとがらせる。
彼女のおねだりとやらで遠慮が要らないことがわかっても、
こんなちいさな仕草で何もかも遠のいてしまうことがある。
ヨコシマなものが全部どこかに行ってしまったようで、
蔵馬はかなり平静に妻をじっと見つめた。
進展するまでにやたらと時間のかかる恋人だ。
まだ事実上夫婦関係とは言い難い。
それも遠からず返上することになりそうだが…
こみ上げてくる幸福感に蔵馬は笑みを浮かべる。
これでは妻が回復しても、仕事に力は入らない。

 * * *

夢リハビリ週間。
なによりえっちくさかったのは
「ベッドの中に彼の体温が残っていない…」という
あの一文かもしれないと思いました。
まだキス以上なにもないカップルなのに。
久々にあのなっがい「王様とお姫様」を読み返したのでした。
部分だけ。自作ながら読み通すには長すぎました。
長い姫様編、もっと長い王様編、短いけれどエピローグの
三編ある上、実は未発表の別サイドストーリィまであるという…

最近パラレルが熱いです。
でもこういうタイプのパラレルってあんまりない…?
あくまで幽白の設定上でパラレルっていうのが普通なの? 実は?
原作無視が自分では嫌なのになぜやってしまう…
異世界トリップっていうのはまた別?
クロスオーバーは違うし…うーむむ専門用語イミフメイ

さて、五月五日ですが世間一般にはこどもの日。
私に男きょうだいがいればこどもの日イベント夢くらい
作ったでしょう、今はともかく一年前なら笑。
個人的にはお友達サイトさんのオープン記念日、
二年目突入をお祝いです。
私ってお付き合いのろのろで基本ROMになってしまうので、
サイトのリンクさせていただいても連絡自体が
途絶えがちになってしまうのです。
毎日毎日サイトには通いつくしているのですが、
日記を拝見してお話しした気持ちになって満足しちゃうのね。
これはイケマセンのです。

似ています相方さま笑、おめでとうございます。
丸一年お疲れさまでした、二年目も北国から応援をば…
お祝いにほっぺにチュウと「大好き」を差し上げます。
照れて「ちょっと待って」と言ってください(それは…?)。
御巫山戯はともかく、大好きは本音です。
デルタちゃんによろしくお伝えくださいませ(あれ?)。
由来は存じてますが額に三角はないのですよね笑。
かーわーいいー
お祝いが本筋からそれてどうするというのでしょう。
でも本当にもう…蔵馬に惚れて焦らされております。
あの超未来設定のおはなしがやっぱり好きみたい。
続きが楽しみです。
癸氏にもまたお会いしたいです…

日記のぷち夢がたまってきたのでサイトにちゃんと
アップしたいのですが、まだ日記のログに取り残したまま
放ってあるものも多数。
全部拾いきれる自信がない…
この日記ぷち夢もね、そもそもの発端は母の日夢で
お花屋さんの彼女でしたから一年経とうとしてますね。
サイトでの夢更新がなくってつらいのは実は管理人です…
ごめんねごめんね;
ねりちょぎ
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
クリック募金
クリック募金システムです。
下のバナーをクリックすると
クリック募金のページが表示されます。
一日一回クリックすることができ、
ワンクリックで一円を募金することができます。

東日本大震災 支援クリック募金
■うさうさ■

わすれないよ うさうさ
■ブログ内検索■
PR
忍者ブログ [PR]