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雪花の日記です
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薬が切れた。

ので、病院に行かなきゃならない。
母親は保険証と診察代+薬代+交通費の入った財布と、
カプセルに黄色い粉がみっちり詰まったビタミン剤と、
ビタミン剤を飲み下すためのペットボトル入りの水と、
もしもの時の携帯電話を用意して、かばんに入れた。

「いってらっしゃい。
 まっすぐに病院に行って、診察が終わったらすぐ帰るのよ。
 途中で寄り道をしないこと」

子どもに言い聞かせるような口調だ。
母親はビタミンの黄色いカプセルを精神安定剤だと言っているが、
それがプラシーボ効果…薬が効いたという思い込みで
体調が改善するというやつ…を期待して、何の害もないが見た目は
薬の形状のものを持たせているに過ぎないということを
私は知っている。
そう言っておけば私が安心すると思うことで
彼女は自分を安心させているのだから、
そんなこと知っているから効果は起きないわよと言うのも
いかにも不親切ということで、黙っておいてあげることにしている。
なんて理解のある娘。
彼女にしたって娘思いの母親なのだろうけど、
その拘束がそろそろ私にはきついもので、
私は彼女に秘密をひとつ持っている。
それが悪いことだと…よくないことだと薄々知ってやっているので、
私も後ろめたい思いをするけれど、思いながらやめられない。
薬を試すのも変えるのも一時の効果で
長くはもたないことを知りながら依存をやめられないように、
このままじゃいけないと思いながらのめり込んでいる。
薬 薬と、これでは処方箋を書いてもらっていても麻薬症状のようだ。
“ 寄 り 道 を し な い こ と ”。

生い茂る森を抜けるようにビルの合間、人のあいだを早足で歩く。
目指すのは病院とは別の場所。
むせ返るほどの花が咲き乱れて、溢れる香りに頭痛を起こす。
無機質な四角いコンクリートに埋もれるようにして建つその家は、
なんだか妙に生臭く思われた。

「やあ? 来たの」

彼は私の訪問を歓迎はしないが咎めることもしない。

「薬が切れたの」
「ふぅん。それで?」
「処方して」
「相応の報酬をくれるのなら?」
「もちろん…」

彼はお金に価値を感じないタイプの人間だった。
腐るほど持っているからと言う割には普通すぎて見えるけれど、
確かにお金だけでなくあらゆるものに頓着しないような感じがする。
外観は若い男性で、髪が長くて、きれいな顔をしている。
だからまず受ける印象はいいのだが、目の表情がとても冷たい。
冷ややかな視線を私に投げてよこしながら、
腹の底で彼は何を考えているんだろう。
ブラウスのボタンを外して、
上目遣いに舐め上げるように視線を送る。
彼は了解、というように満足そうに、妖しく笑みを浮かべた。

薄暗い部屋の中に夏の暑さは容赦なく忍び込んできていて、
その中で絡み合ったらビョーキの前に熱中症かなにかで
死ぬんじゃないか。
汗ばんだ肌が摩擦を繰り返す感触はあまり気持ちいいものじゃない。
気持ち悪いと思いながら、薬を切らすたびにここへやってきて
私はいったい何をしているのかと大抵真っ最中にそう思うのだけど、
ちゃんとした病院で処方箋を出してもらって飲む薬よりは
よっぽど効き目があることは確かだ。
誰にも黙って、誰も気付かないようなこんな場所へやってきて、
こんなことを続けている。
彼が誰なのかも私は本当は知らないけれど、
別にそれは大事なことじゃなかった。

「赤ずきんちゃん。
 お母さんに、教わらなかったかい、寄り道をしちゃダメよ…
 狼に食べられちゃうから なんて…」

前髪のあいだから見下ろしてくる目が、
まさに獲物をとらえて恍惚とした というような色をしている。
背筋に走る戦慄すらも身体の奥に疼く快感に似て思えて、
身体中が火がついたように熱を帯びていく。
何もかもが燃えたような気がする、あの感覚が好き。
身を食い尽くされて感じるのは汚されたなんていう気持ちじゃなく、
どこかリセットされたようなそういう感覚だった。
不安も心配もなにもかもが一度飛んでしまう。
私は薬でハイになれるタチじゃないから、
ここへ来てその浮遊感を求める。
白く燃え尽きて、飛んでいく、気持ちいい。

悪いことだと本当はわかっているのに、
その誘惑に乗るのが楽しくて抗えないことってあるのよ。

本当は狼じゃなくて狐なんだとわけのわからないことを言った彼は、
私がそう言ったのにも相変わらずの妖しい笑みを
返してくるのみだった。

病院へ行き薬を処方してもらって帰途につく。
日が過ぎてだんだんと減っていく錠剤の羅列。
そんなものにホントは大した興味なんてないけど。
この羅列がゼロになったら、私はまた出かけて行くんだ。

まだ、病気のままでも、構わない。


コンちゃんとフルーツケーキ・ファクトリーへ行きました!
今日はちょう贅沢をしました!!
フルーツケーキ・ファクトリーとは。
札幌発、季節のフルーツをふんだんに使ったタルトが売りの
ケーキ屋さん。ケーキ屋さんでいいのかな??
ケーキの並ぶショウ・ケースはまるで宝石箱です。
本州にはお店、ないですよね、たぶん…うわぁ可哀相!(いやなやつ)
デートに行くならあそこがいい! と思ったけど相手がいない上、
今日コンちゃんとケーキを食べるなら女の子同士がいいよね
という話で意気投合したのを忘れていました。
あの空気を共有できる人同士がいいよねって。
あの、宝石みたいなケーキを前にきゅんとして、
みゅーってなるあの感じを! みゅー? みゅーってなんだ…
どれも可愛くてきれいで美味しそうで選べないよどうしよう、
食べきっちゃうのが惜しいよどうしよう、
ゆっくりひとくちずつ味わって食べよっていう笑。

それでね、今日の贅沢っていうのはね、
ひとりで2ピースのケーキを食べたこと!
 きゃー
1ピースがちょっとしたお値段するんです。
それでも500えん~1000えんまではいかないかな?
雪花がオーダしたのは「プラムといちじくのタルト」と、
「桃とアプリコットのタルト」でした。
プラムといちじくは前にも食べたことがありました。
今の旬のフルーツが桃とサクランボということで、
もうひとつに桃とアプリコットをチョイス。
桃とアプリコットってやっぱり別物なのですね、お勉強でした。
ちなみにコンちゃんは「佐藤錦のタルト」と…もういっこなんだっけ;
サクランボがぼわぁぁって敷き詰められた佐藤錦タルトは圧巻でした。
すっごい し あ わ せ…
コンちゃんの飲み物がキャラメル・マキアート、
雪花はホットのダージリン。
おっきいポットのサービスが嬉しいのです★

またフルーツがチェンジした頃に行こうねというお約束。
コンちゃんと雪花(とやこ)のとってもお気に入りのお店。
雪花の紹介だけじゃたぶん魅力が伝わらないの、あの、
宝石箱なキラキラ感が!!
というわけでホームページを御紹介。
フルーツケーキ・ファクトリー
ほ、ほんとは…桃とチーズのタルトだって食べたかったの!
くるみのタルトだって食べたかったの!!
がまんしたの えらい…
秋のタルトはなにかなぁ…

というわけで。
大変至福な一日でございました。
そういえば、ナナメふたつくらい向こうのテーブルにいた
女の子五・六人のお客さんの視線をやたらと感じました。
うるさかったのかな…?
それともただの気のせいだったのかな…うーん
ねりちょぎ
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