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雪花の日記です
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「はい、蔵馬にもあげる」
彼女は花屋でアルバイトをする勤労学生で。
今日は忙しい分早めに上がらせてもらえるからと連絡が入ったので、
暮れかけた街へと迎えに行った。
電車の時間までのほんの数分でも、逢えるなら逢いに行きたい。
そうして身支度を整えて店から出てきた彼女は、
オレを見るなり言ったのだ。
ビニルでくるまれ、リボンをかけられた赤いカーネーションを
一輪差し出して。
「…母の日?」
「そうそう。お花屋さん、大活躍」
えへん、となんだか自慢げに言う彼女。
苦笑しつつ受け取って、花ならいくらでも自分で出せるのにと言うと。
「違う違う、それは私からなの」
「うん?」
「私から蔵馬のお母さんに」
「………」
「ありがとうって」
…なんだか、たぶん彼女の意図しないところを
勝手に意識してしまっているオレがいるのだけれど。
未来の花嫁さんから未来のお母さんに、なんて思うのは…
(舞い上がり過ぎかな…)
オレの内心を知ってか知らずか、隣を歩く彼女は御機嫌だ。
「ありがとう。伝えておくよ」
別れ際のキスはなんだか、
いつもより少し初恋に近い味がした気がする。

問題は帰宅後だった。
彼女から渡されたカーネーションを母さんに差し出してみる。
「あら、母の日? さっきもらったのに」
「う、ー…ん」
なんと説明しようか。
「えーと。つまり。言ってなかったんだけど」
母さんの目には、妙に口ごもる息子がどんなふうに見えただろう?
「…付き合っている女の子がいて」
「あらあら? 初耳だわ」
「………」
母さんは面白そうな顔をしてじぃっとオレを見上げてくる。
もうすでに彼女の身長をオレは追い越してしまった。
「花屋でアルバイトしている子で。それで」
彼女からです、と言うと、
母さんはなんだかいやに嬉しそうに目を細める。
オレからカーネーションをプレゼントしたときとは
ちょっと態度が違って見えるんだけど。
「ありがとうって言ってたよ」
「まぁ、そう、嬉しいわ」
素直にそう言ってにっこりしている。
彼女のことをいつ母さんに伝えようかと
ずっとタイミングを見計らっていたのだけど、
ずいぶん唐突にその時は訪れたものだ。
よくよく考えると、彼女は母さんに対してなにを感謝しているのか。
そもそもは彼氏の母親なんて他人の他人なのに。
オレだってまだ、彼女がいるんですなんて言えもしないでいたのに。
「秀一、今度その子を連れていらっしゃいよ。会ってお礼が言いたいわ」
「え? ああ、うん…」
こんなに大きくなっちゃって、なんて言いながら、
母さんはとっくに自分より背の高いオレの頭をぽんぽんと撫でる。
生きた年数がどれほど長かろうが、中身が妖怪だろうが、
物理的にオレのほうが背が高かろうが、
母さんにとってオレがいつまでも息子であることには違いないのだ。

(ああ、ありがとうって、そういうことなのかな…)

改めて面と向かってありがとうなんて、普段は言ったりしない。
オレが贈った花と彼女が贈った花とを混ぜ混ぜにして活けながら、
母さんはなんだかとても嬉しそうな様子だ。

ありがとう、ありがとう、ありがとう、たくさん、

今日という日と、彼女の気持ちと、母さんとに、
オレはまた改めて感謝するのだった。
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母の日!
あと十分で終わっちゃうけど母の日!
雪花まだありがとう言ってないんです、ちょっと言ってきます。
続きは戻ってきてから。
*   *   *
言ってきましたー。
カーネーションもプレゼントもなかったからでしょうか…
別のことにありがとうなんだと思われちゃいました(:_;)
本当は↑のおはなしもイベント夢で書くつもりだったのに
今日は本当に時間がなくて;
そしてこのあと推理夢書きに行きます…
行きますって言っても場所移動とかまったくありませんけれどね笑。
皆様はお母様になにをして差し上げたのでしょうか。
ねりちょぎ
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